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老化細胞の除去で加齢によるCOVID-19感染時の致死回避なるか!?


細胞老化はホットだけど、細胞老化の定義がいまいち 2016年にp16というタンパク質を持つ細胞(SnCs)を特異的に殺すことで寿命が伸びると報告している。細胞老化の定義には3つの条件があり ①弱酸性ベータガラクトシダーゼ陽性 ②細胞老化関連分泌形質(SASP)陽性 ③細胞周期の不可逆的停止 のうちのSASPの一つに当てはまる細胞周期を抑制する遺伝子である。

つまり2016年の論文で、細胞老化の除去によって寿命が長くなる!!という感じで盛り、心臓、糖尿病、関節炎など細胞老化除去(Senolytics)万能説まである。ただ、老化とはそんな単純なものではなく、薬と同様に適切なタイミングで適切な処方をしなければ逆効果になる場合もある。実際にJeff BezosやPeter Thielが投資しているUnity Biotechnologyは昨年臨床治験に失敗している。今回は詳細には触れない。

細胞老化がコロナ禍においても救世主となるか!? 高齢者では、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)によって全身性炎症反応により肺障害や多臓器不全などの重症化と死亡リスクが高いことが知られている。今回の論文は、高齢のマウスにおいて2016年の論文と同じくINK-ATTACマウスを使ってp16陽性細胞を除去し、理論的には細胞老化細胞を除去している。その結果、コロナウイルスとして知られるSARS-CoV-2の近縁種であるmouse hepatitis virus (MHV)による死亡率を減少させている。同様に細胞老化を除去する効果を持つことが知られているフラボノイド群のフィセチン(fisetin)の投与によってオスとメスで共に40%の死亡率低下が観察されている。フィセチンの臨床効果についてはFDAの臨床試験データベースを見ると有効性の検証試験がそろそろ終わる予定なので、人での予防効果についても近く報告があるのではないかと思われる (https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04476953) 。ただし、COVID-19単体に関していえばワクチンの方が有効性が高いし、治療薬ができたらそれを優先する方が正しい。細胞老化のコンセプトはあくまでも高齢者になって感染症などへのリスクが出てくるときに、異常な炎症誘導を抑制することで致死に至らないように準備しておくことができるかもね、ということだろう。2050年までに感染症での死亡数は癌を超えるとも言われてるわけだし。

 個人的には細胞老化という領域はin vivoではまだまだ新しく不明な点が多いという印象。弱酸性ベータガラクトシダーゼ陽性という意味不明な指標が入っているし。また創薬開発についてMayo Clinic、Unity BiotechnologyなどSenolyticsを標的とした創薬開発は次々に進んでいるが、TPPやMoAが十分でない印象も受けるため今後の展開にひきつづき着目したい。


参考論文 https://science.sciencemag.org/content/373/6552/eabe4832?ijkey=bb5ef26cd98109c050553e8d88d88350cf3f70a6&keytype2=tf_ipsecsha 

Camell CD, Yousefzadeh MJ, Zhu Y, Langhi Prata LGP, Huggins MA, Pierson M,

Zhang L, O'Kelly RD, Pirtskhalava T, Xun P, Ejima K, Xue A, Tripathi U, Machado

Espindola-Netto J, Giorgadze N, Atkinson EJ, Inman CL, Johnson KO, Cholensky SH,

Carlson TW, LeBrasseur NK, Khosla S, O'Sullivan MG, Allison DB, Jameson SC,

Meves A, Li M, Prakash YS, Chiarella SE, Hamilton SE, Tchkonia T, Niedernhofer

LJ, Kirkland JL, Robbins PD. Senolytics reduce coronavirus-related mortality in

old mice. Science. 2021 Jun 8:eabe4832.


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